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モデルの前にデータを組み立てる:空間回帰のデータパイプライン

空間手法07 / ノート

空間研究の大半は回帰より前にある。生の点と境界を実距離を持つ分析レイヤーへ整え、その上に OLS、グローバル空間、局所モデルを順に置く。

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所属分野
研究
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空間研究で目に付きやすいのはモデルである。係数、局所効果の地図、そして関係がどこで強いかという解釈だ。しかし、より大きく静かな作業は、最初の回帰より前にある。行同士が本当に比較可能であること、距離が実際のメートルで測られていること、移動費用が地図上の直線ではなく道路網に沿っていることを確認しなければならない。本稿では、生の点と境界から分析可能な一つのレイヤーを作り、その上へモデリングの段階を置くまでを一般的な手順として整理する。例は「最寄り駅までの徒歩時間」のような教科書的なものに限る。研究間で運べるのはパイプラインであり、個別の結論ではない。

生データから分析可能なレイヤーまで

図中の ★ は、エラーを出さずに静かに失敗しやすい工程である。以下ではそこを重点的に確認する。

結合する前に、清掃とキー作成を行う

最初の表結合は、データが気付かれないまま失われやすい場所である。属性表には末尾の空白、全角・半角の混在、名称表記の揺れが含まれる。未処理の名称列をそのまま使うと、一致しない行は警告なしに落ちる。そこで最初に、空白の除去、文字幅や大文字・小文字の統一などのテキスト標準化を行い、各行を一意にする条件をまとめた複合キーを作る。

名称一つだけのキーでは足りないことが多い。観測が時期をまたいで繰り返されるなら、年 + 地域 のように時期もキーへ含める。同じ場所の異なる時期を別の行として残し、静かに一件へ潰さないためである。観測を区別するすべての項目からキーを作り、次へ進む前に結合後の行数が想定と合うか確認する。

メートル単位へ再投影し、ラベルの罠を避ける

緯度と経度は角度であり、距離ではない。地理座標のまま長さ、面積、移動時間を計算すれば、場所によって異なる誤差が入る。距離を扱う前に、すべてのレイヤーを投影座標参照系へ再投影する必要がある。単位がメートルで、対象範囲内の歪みが小さい座標系を選ぶ。

ここには、名称が似ていて働きが異なる二つの操作がある。一つは座標を新しい系へ計算し直す再投影である。もう一つは投影を定義するだけで、メタデータのラベルを書き換えて座標自体は動かさない。後者を前者の代わりに使うと、正しい投影を持つように見えながら、その後の幾何処理がすべて誤ったデータになる。必要なのは再投影であり、付け替えではない。

アクセシビリティは直線ではなく道路網で測る

「駅までの距離」には二つの意味がある。直線距離は簡単に計算できるが、人は建物や河川を通り抜けられないため、実際のアクセス費用をほぼ必ず過小評価する。特性価格やアクセシビリティのモデルが通常必要とするのは、道路網距離または時間である。歩行や走行の実際の費用を、通行可能な街路レイヤー上の起点・終点コスト行列として計算する。

よく現れるのは次の二つの状況である。

  • 施設が一つ指定されている場合。 各地点に特定の施設が割り当てられているなら、その組み合わせのコストを直接採用する。
  • 複数施設から選べる場合。 一つに指定されていないなら、コスト行列で最も近い施設を、利用可能な最良アクセスの近似として採用する。

直線距離も残しておく。ただしアクセシビリティ指標としてではなく、次の品質確認の分母として使う。

距離の品質を確認する

道路網グラフは壊れる。欠落した線分や誤って接続された線分があると、アルゴリズムは不自然な迂回を選び、少数の異常な移動時間が推定を歪めることがある。迂回度指標は、道路網コストを、直線距離と名目速度から想定されるコストで割り、候補を表面化する。

迂回度 = 道路網時間 /(直線距離 / 名目速度)

直接的な経路では迂回度が低く、大きい値は長い迂回を示す。任意の閾値を置くのではなく、四分位範囲のフェンスで分布上端を確認する。

上側フェンス = 第三四分位点 + 標準的な倍率 × 四分位範囲

ただし、外れ値は自動的に誤りとはならない。この判断を完全に自動化することはできない。河川や鉄道回廊による迂回は現実の地理であり、実際の移動負担として残すべきである。道路網の欠損が生んだ迂回はノイズなので除く。指標は候補を提示し、人が地図と照合して裁定する。統計量だけで削除すれば、研究が測ろうとする空間的摩擦そのものを捨てる可能性がある。

一つの分析レイヤーへ統合し、境界で切る

距離を信頼できる状態にした後、列ごとに名称と型を決めてスキーマを統一し、並行していた処理を一つの分析レイヤーへまとめる。最後に、レイヤーと背景を研究境界で切り、すべての地図が同じ端で終わるようにする。

この段階の成果物は一つの表である。行は比較可能で、距離はメートル単位、アクセスは道路網に基づき、品質確認の履歴が残っている。モデルを始めるのはここからだ。

モデリングの段階:OLS → 空間 → 局所

グローバル平均から局所表面へ

このレイヤーの上には三段階の進行を置ける。次の段階は仮定ではなく、診断によって必要性を確認する。

  • OLS を基準にし、その後に診断する。 通常最小二乗法でグローバル平均の関係を推定し、残差が地図上で集まるかを Moran’s I で調べる。隣接地点の残差が似ていれば、OLS は空間構造を取り残しており、標準誤差をそのまま信頼できない。
  • グローバル空間モデルで依存を吸収する。 空間依存があれば、空間誤差モデルまたは空間ラグモデルで近隣構造を仕様へ入れる。空間 Durbin モデルは両方を包含できる。依存は扱えるが、関係自体はどこでも同じだと仮定する。
  • 関係そのものが変わるなら局所モデルを使う。 効果が場所によって一定でないとき、つまり単なる依存ではなく空間的異質性があるとき、**地理的加重回帰(GWR)**は地点ごとに係数を推定する。一つの数字ではなく、地図にできる表面が得られる。

局所視点に追加作業の価値がある理由

一つのグローバル係数と地点ごとの係数

一つのグローバル係数は、互いに反対向きの局所関係を平均しただけかもしれない。ある地域の正の関係と別の地域の負の関係が相殺すれば、グローバルモデルは「関係なし」と報告できる。教科書的な例では、駅への近接性が高密度の中心部では明確な差と結び付き、都市周縁では弱い場合がある。グローバル適合は一つの値でその分岐を隠すが、局所適合は関係が場所に応じて変わる様子を示す。

データパイプライン全体は、このような変化を信頼できる形で見せるためにある。局所係数が、壊れた道路網や未投影の距離ではなく、現実の空間を反映しなければならない。

パイプラインは再利用できる。一方、係数と地図は個別研究が生み出すものである。方法は別のプロジェクトへ運べるが、知見はそれを得たプロジェクトに残る。この二つを混同しない。

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