同じ人、企業、地区を繰り返し観測したグループデータがあり、各グループに説明変数と相関する固定的で観測不能な特性があるとする。**固定効果(FE)**は、各グループを自身の対照として扱う。
グループ固有の切片を持つモデルを書く。
y_ig = x_ig'β + α_g + ε_ig
within(FE)推定量は、各変数からグループ平均を引き、ỹ_ig = y_ig − ȳ_g とすることで α_g を完全に消す。
β̂_FE = ( Σ x̃_ig x̃_ig' )⁻¹ Σ x̃_ig ỹ_ig
代数的には、グループダミーをすべて含む OLS(LSDV)と同一である。利益は大きい。グループ内で一定である限り、観測されるか否かを問わず、すべての時間不変なグループ交絡を除去できる。測定せずに一群の欠落変数バイアスを消せる。
代償も同じく重要である。
- FE はグループ内変動だけで識別する。グループ内で一定の説明変数は
α_gとともに消え、その係数を推定できない。 - グループ間変動を捨てる。関心がまさにグループ間差にあるなら、FE は信号を捨てるため、誤った道具になる。せいぜい関心係数を弱める頑健性確認にしかならない。
代替推定量との関係は次の通りである。
| 推定量 | α_g に関する仮定 |
使用する変動 |
|---|---|---|
| プール OLS | x と無相関かつゼロ |
グループ間 + 内 |
| ランダム効果 | x と無相関 |
グループ間 + 内(効率的) |
| 固定効果 | x と相関してよい |
グループ内のみ |
Hausman 検定は FE と RE を比較し、有意なら α_g が説明変数と相関するため FE を選ぶ。
FE の限界も明確である。吸収できるのはグループ内で一定の交絡だけだ。時間変動するショックなど、グループ内で変わりながら x と相関するものは残り、操作変数または明示的な研究設計が必要になる。
よくある誤りは、FE の下でグループ内一定変数の効果を推定しようとすること(不可能である)、そして関心対象がグループ間対比なのに FE を機械的に選ぶことである。