操作変数:説明変数そのものが問題になるとき

計量経済学03 / ノート

説明変数が誤差と相関すれば OLS は不一致になる。説明変数を動かしながら誤差には触れない操作変数が識別を回復するが、その核心仮定は検定できない。

OLS が一致するのは、説明変数が誤差と無相関の場合だけである。欠落変数、同時性、測定誤差、または人々が選択肢の間で行う選別によって相関すれば、推定は偏り、データを増やしても直らない。**操作変数(IV)**は、問題のある説明変数 x を動かす一方、それ以外では結果と無関係な変数 z を見つけて一致性を回復する。

操作変数は二条件を満たさなければならない。

  1. 関連性——Cov(z, x) ≠ 0。操作変数が実際に x を動かす。これは第一段階の F 統計量で検定可能である。
  2. 除外制約/外生性——Cov(z, ε) = 0。操作変数は x を通じてのみ y に影響し、直接にも欠落要因経由でも影響しない。これは検定できず、理論または設計から論証しなければならない。

標準的な推定量は**二段階最小二乗法(2SLS)**である。

第 1 段階:x を z(および制御変数)へ回帰 → 予測値 x̂
第 2 段階:y を x̂ へ回帰

直観的には x の内生部分を捨て、操作変数が誘発した変動だけを残す。その部分は仮定によりクリーンである。内生説明変数より操作変数が多い場合は過剰識別となり、Hansen/Sargan J 検定で過剰識別制約を確認する。

罠は具体的である。

  • 弱い操作変数。 関連性が弱いと(第一段階 F が低い。経験則は F > 10)、有限標本バイアスが急増し、標準誤差も誤解を招く。疑わしい場合は弱操作変数頑健推論を使う。
  • 除外制約は検証できない。 これは論証であって検定結果ではなく、因果主張全体が依存する。結果への裏道を持つ、一見もっともらしい操作変数は、操作変数がない場合より悪い。
  • 効果の異質性。 効果が単位間で異なるとき、IV が識別するのは、操作変数によって実際に動かされる「遵守者」の局所平均処置効果であり、全員の平均ではない。

記述的回帰から因果主張へ進むとき、IV は自然な選択肢になる。説明変数に準ランダムな変動源——閾値、境界、抽選、政策切替——があれば、操作変数または回帰不連続設計になりうる。加重や固定効果で消せない内生性を直すが、その範囲は除外制約が本当に成立するところまでである。