基礎ノート——分析の構成要素を鈍らせないために。
消費者理論は数値ではなく、順序から始まる。消費者は選好関係 ⪰(「少なくとも同程度に望ましい」)によって財の束を順位づける。三つの公理が、その順位を分析可能なものにする。
- 完備性——任意の二つの束を比較できる(
A ⪰ BまたはB ⪰ A)。 - 推移性——
A ⪰ BかつB ⪰ CならA ⪰ C(循環がなく、選択が一貫する)。 - 連続性——選好に突然の飛躍がない。次の段階を保証する技術条件である。
これらが満たされると、順位は効用関数 U で表現でき、A ⪰ B のとき、かつそのときに限り U(A) ≥ U(B) となる。通常さらに、単調性(「多い方がよい」)と凸性(「混合は少なくとも両極端に劣らない」)を仮定する。
最も重要な性質は、効用が序数的であることだ。U と任意の狭義単調増加変換 f(U) は同じ選好を表すため、意味を持つのは順位だけである。絶対値も差も意味を持たない。「A は 10 util、B は 5 util」から A が二倍よいとは言えず、分かるのは A ≻ B だけである。
幾何学によって具体化できる。無差別曲線は同じ効用を持つ束の集合である。公理の下で(1)右下がり(単調性)、(2)他の曲線と交差しない(交差は推移性に反する)、(3)右上ほど高い効用、(4)原点へ凸(凸性)となる。
無差別曲線の傾きは限界代替率(MRS)、すなわち効用を一定にしたまま x を一単位増やすために消費者が諦める y の量である。
MRS_xy = |dy/dx|_(U 一定) = MU_x / MU_y
MU_x = ∂U/∂x は限界効用である。凸選好は MRS 逓減をもたらす。すでに x を多く持つほど、さらに x を得るために手放す y は少なくなる。
標準的な効用形と特徴は次の通り。
| 形式 | U(x,y) |
無差別曲線 | MRS |
|---|---|---|---|
| Cobb–Douglas | x^a y^b |
標準的な凸形 | (a/b)(y/x) |
| 完全代替 | ax + by |
直線 | 一定 a/b |
| 完全補完 | min(ax, by) |
L 字型 | 折点で未定義 |
| 準線形 | v(x) + y |
垂直方向へ平行移動 | x のみに依存 |
よくある誤りは、効用を基数的な「幸福の量」と読むこと、交差する無差別曲線を描くこと、MRS を価格比と常に等しいとすることである。最後の二つが等しいのは最適点だけであり、別の結果である。