選好と効用

ミクロ基礎01 / ノート

基礎ノート:選好順序を効用関数で表現できるための公理と、無差別曲線および限界代替率が実際に表すもの。

基礎ノート——分析の構成要素を鈍らせないために。

消費者理論は数値ではなく、順序から始まる。消費者は選好関係 (「少なくとも同程度に望ましい」)によって財の束を順位づける。三つの公理が、その順位を分析可能なものにする。

  • 完備性——任意の二つの束を比較できる(A ⪰ B または B ⪰ A)。
  • 推移性——A ⪰ B かつ B ⪰ C なら A ⪰ C(循環がなく、選択が一貫する)。
  • 連続性——選好に突然の飛躍がない。次の段階を保証する技術条件である。

これらが満たされると、順位は効用関数 U で表現でき、A ⪰ B のとき、かつそのときに限り U(A) ≥ U(B) となる。通常さらに、単調性(「多い方がよい」)と凸性(「混合は少なくとも両極端に劣らない」)を仮定する。

最も重要な性質は、効用が序数的であることだ。U と任意の狭義単調増加変換 f(U) は同じ選好を表すため、意味を持つのは順位だけである。絶対値も差も意味を持たない。「A は 10 util、B は 5 util」から A が二倍よいとは言えず、分かるのは A ≻ B だけである。

幾何学によって具体化できる。無差別曲線は同じ効用を持つ束の集合である。公理の下で(1)右下がり(単調性)、(2)他の曲線と交差しない(交差は推移性に反する)、(3)右上ほど高い効用、(4)原点へ凸(凸性)となる。

無差別曲線の傾きは限界代替率(MRS)、すなわち効用を一定にしたまま x を一単位増やすために消費者が諦める y の量である。

MRS_xy = |dy/dx|_(U 一定) = MU_x / MU_y

MU_x = ∂U/∂x は限界効用である。凸選好は MRS 逓減をもたらす。すでに x を多く持つほど、さらに x を得るために手放す y は少なくなる。

標準的な効用形と特徴は次の通り。

形式 U(x,y) 無差別曲線 MRS
Cobb–Douglas x^a y^b 標準的な凸形 (a/b)(y/x)
完全代替 ax + by 直線 一定 a/b
完全補完 min(ax, by) L 字型 折点で未定義
準線形 v(x) + y 垂直方向へ平行移動 x のみに依存

よくある誤りは、効用を基数的な「幸福の量」と読むこと、交差する無差別曲線を描くこと、MRS を価格比と常に等しいとすることである。最後の二つが等しいのは最適点だけであり、別の結果である。