一人が段ボールへ荷物を詰め、もう一人が次の仕事はいつ始まるのかと尋ねる。いくつかの問いで退職理由が揺らぎ、対話は最後に社員証へ戻る。
原制作番号の EP04 を保持し、サイトの選録では第2回として収録する。試したのは大きな場面ではなく、話し手と聞き手が一緒に緊張を保つ二人芝居だった。
三つの区間で空間と同一性を共有する
全長は約 63.2秒。約13、27、23秒の三つの区間を使った。Seedance 2.5の複数参照による音画生成を1080pで行い、作者が手動で完成版へ編集した。
最終経路では固定の開始画像を使わず、オフィス空間一枚、各人物の顔と全身、各話者の短い音色参照を共有した。七つの入力が、配置、顔の同一性、体型と服装、音色を分担する。
役割を分けても連続性は自動では成立しない。区間は独立に生成されるため、部屋の左右、視線、人物状態、前後の語調を比較する必要がある。
道具も沈黙も具体化する
社員証が卓上の表示板になったことがあった。名称を繰り返すより、形、材質、大きさ、持ち方を記す必要があった。物を持つ手に、同時にドアを開ける役を与えないことも同じだ。
聞き手も見落としやすい。主役の発話中に背景人物が止まると、鮮明でも出番を待つ写真のようになる。手を止める、目を上げる、箱から手を離す、ためらう、といった反応を直前の台詞と合わせて見る。呼吸と瞬きも残す。
この対話が示した範囲
一回の生成内で問答と反応の形を作れた一方、区間をまたぐ空間と状態にはリスクが残った。編集後に返答がつながって聞こえても、次の生成が前の区間の実際の状態を引き継いだとは限らない。
本ページでは字幕版の映像、台詞、編集を保持する。人物、言語、場面を増やした次の試作は『九時になる前に』に収録した。